またしても着ぐるみさんで格ゲーする会を開催した

2026年1月4日、Red Bull Gaming Sphere Tokyoにて『着闘祭 第0.1回』を開催しました。

着ぐるみが好きな人たちで格闘ゲームで対戦するというイベントです。今回も会場を含めて皆様のご協力のもと開催できたので、その時のことを本稿にまとめたいと思います。

このイベントは、不燃焼氏と私の2人で立ち上げました。不燃焼氏はスタッフや会場の調整などのまとめ役を、私は機材の選定・調達や技術面のまとめ役を担当しています。 今回、特に重みを置いたのは前回のテスト開催で出てきた課題をいくつか解決したいというところでした。

映像が映らないトラブル、受付の煩雑さ…これらを一つずつ地道にクリアしていくことを目指しました。 この記事では、私が担当した技術面について振り返ります。どうしても私の担当分野である技術面にフォーカスした内容になってしまいますが、着闘祭の裏側に興味を持ってくれた方の参考になれば幸いです。

チケットの支払いを変えた

前回はzaikoというイベントチケット販売プラットフォームを使っていました。事前にオンラインでチケットを販売することで参加人数を把握でき、当日の現金徴収の手間も省けるという利点がありました。現金を受付におくのってリスクがありますからね。

前回は立ち上げたばかりのイベントだとクレジットカード決済の審査が通らない可能性もあったので、既存のプラットフォームを使うのが安全だと考えていました。

ただ、使ってみて分かった問題点がいくつかありました。まず手数料が高いこと。そして何より、売上の振り込みまで2ヶ月もかかることです。イベント終了後すぐに次の準備を始めたいのに、資金が手元に来るまでこれだけ時間がかかるのは運営上かなり厳しいものがありました。

そこで今回はSquareを導入することにしました。Squareの最大の強みは振り込みサイクルの短さです。zaikoが2ヶ月かかっていたのに対し、Squareは最短翌日で振り込み。これは運営のキャッシュフローが大幅に改善されるので、とてもありがたいです。

新しいイベントでカード決済の審査が通るか不安でしたが、前回開催時のデータや実績をまとめて提出したところ、無事に審査を通過できました。まあ、資料がなくても審査は通ったかもしれませんが。

端末も準備したので、参加費を徴収できていない方は受付で徴収しました。自分たちで立てたイベントでSuicaの音とか鳴るのはかなりシュールで楽しいですね。

ただし、Squareには専用のチケット管理機能がありません。参加者の管理や受付システムは必要だったので、この部分は自分で簡単なWebアプリを作って対応することにしました。エンジニアとしてはこういう「必要なものを自分で作る」のも楽しい部分ですね。

チケット管理を自作した

Squareは決済周りは優秀なのですが、チケット管理機能がありません。参加者の受付をどうするか考えた結果、自分でシステムを作ることにしました。普段使っているVueで作った必要最小限の管理システムです。

参加者のデータはNotionで管理していたので、NotionのAPIを使って直接データを取得する仕組みにしました。作った機能は大きく分けて2つで、まず参加者用のQRコードを発行する機能です。Notionから取得した情報をもとにQRコードを生成して、参加者のDiscordアカウントに受付用QRコードを送信しました。もう一つはQRコードを読み取って受付する機能で、スマホのカメラで読み込むだけで受付が完了し、スタッフか一般参加者かも画面に表示されるようにしました。

イベント当日、このシステムはおおむね順調に動いて…いたはずだったのですが、盛大にやらかしました

受付アプリのサーバーを、手元のMacBookで動かしていたんです。そしてノートパソコンって、一定時間放置するとスリープモードに入るんですよね。はい、それが原因で受付アプリが動かないというトラブルが発生しました。本当にごめんなさい。凡ミスすぎる。

次回への反省点として、受付用のPCを1台専用で用意することと、できればオフラインでも動くようにすることを考えています。ネット接続でトラブると全てが崩壊するので、ローカルで完結できる仕組みにしたいです。どうしようもできなくなったらスプレッドシート印刷でいいかも。技術的には問題なく動く仕組みだったのに、運用面での詰めが甘かったです。参加者の皆さん、受付でお待たせして本当に申し訳ありませんでした。次回は必ず改善します。

Wi-Fiを自分たちで設営した

会場のインターネット回線自体は高速なのですが、無線LANが不安定で速度が出にくいという問題がありました。イベント中に配信が途切れたり、参加者がネットワークトラブルで困ったりするのは避けたかったので、今回は自分たちでWi-Fi環境を構築することにしました。

せっかく自宅にネットワークの実験環境を用意しているので、それを活用してみることに。会場から自宅までVPN接続を張って、ネットワーク処理の一部を自宅のシステムで行うという構成にしました。会場と自宅が、まるで同じネットワークの中にいるかのようにつながっている状態です。

さらに実験的な試みとして、Nintendo Switchの対戦台だけ、グローバルIPv4アドレスを直接配布してみました。技術的な説明は省きますが、通常よりも「インターネットに近い」接続方法です。これに関しては「ただやってみたいからやっただけ」という感じなので使い勝手としては特に変わらなかったと思いますが、こういう実験ができるのもイベント主催の楽しみの一つだなと感じました。

結果として、配信も参加者の通信も安定して動作し、ネットワーク関連のトラブルはほぼゼロでした。自宅の実験環境が実戦で役に立って、個人的にはとても満足しています。

映像のこと

前回はHDMIケーブルを持ってきたキャプチャーボードに入れようとしたら映像が出ないというトラブルがかなり発生していました。原因は明らかでして、HDMIケーブルを5m以上伸ばしていたので信号の減衰によるものです。そこで今回からはHDMIの信号を全てSDIに変換することにしました。

普段私たちが使っているHDMIケーブルは、実は長く伸ばすのが苦手です。5mを超えると映像が映らなくなったり、画面がチラついたりすることがあります。家のテレビとゲーム機をつなぐ分には十分なんですが、イベント会場のように広い場所で長いケーブルが必要になると困ってしまうんです。

そこで登場するのがSDIという規格です。これはテレビ局や映像制作の現場で使われているプロ向けの規格で、100m以上伸ばしても映像が安定して届くのが特徴です。

今回の会場では、対戦台から配信用の機材まで10m以上ケーブルを引く必要がありました。そこで、ゲーム機からのHDMI信号を一度SDIに変換してから長いケーブルで送るいう方法を取りました。

結果は大成功で、前回のような「映像が映らない!」というトラブルは一切なくなりました。すべての対戦台から安定して映像を受け取ることができ、配信もスムーズに行えました。機材への投資は必要でしたが、イベントの安定性が格段に上がったので、やってよかったと思っています。

配信システムの大幅改善

前回の配信は正直かなり厳しい状況でした。1台のPCにUSB接続のキャプチャーボードを複数挿して、全ての映像を入力しようとしたんです。結果、USB帯域が足りなくなったのか、Windowsが非常に不安定になり、配信途中でブルースクリーンになってしまうこともありました。

今回はHDMIをSDIに変換する構成にしたこともあって、ATEM 4 M/E Broadcast Studio 4Kというスイッチャーを投入しました。これは最大20系統まで映像を入力できる業務用の機材で、今回必要だった12系統の映像入力にピッタリでした。

配信の流れとしては、ATEM 4 M/E BS4K で映像を切り替え、Behringer X32 Compactというミキサーで音声を調整し、それらをATEM miniという小型のスイッチャーに入れてから、PCを経由してYouTube Liveに配信しました。前回のようにWindowsが不安定になることもなく、終始安定した配信を実現できました。

配信画面のデザインや情報表示については、NodeCGを使いました。Notionで管理している参加者データと連携して、リアルタイムで情報を表示できるようにしています。久しぶりに英語のリファレンスを読んで苦労しましたが、ちょっとした工夫として、プレイヤーの名前やX(Twitter)のIDだけでなく、着ぐるみのキャラクター名も表示できるようにしました。これは着ぐるみイベントならではの要素ですね。

ゲーム配信だけで見れば、もっとすごい配信環境を整えているイベントはたくさんあると思います。でも着ぐるみ関連のイベントで、ここまで本格的な配信システムを組んだのはおそらく他にいないんじゃないかと自負しています。

ただ一つ、配信を見返して思ったことがあります。それは解説者がいないことです。映像や音声は安定していても、ゲームの状況を説明してくれる人がいないと、見ている人にとってはちょっと物足りなかったかもしれません。誰か解説できる方いたらぜひお願いしたいのでお知らせください。いやほんとにお願いします。

参加者の協力に感謝

今回のイベントで本当に助かったのが、設営と撤収の際に参加者の皆さんがものすごく協力的だったことです。

ディスプレイやパソコンの配線作業は、どうしても時間がかかってしまいます。でも多くの参加者が自発的に手伝ってくれたおかげで、設営も撤収も予想以上にスムーズに進みました。本当にありがとうございました。

スタッフにも感謝

前回のイベントを開催して痛感したのが、主催2人だけではマジで人手が足りないということでした。受付、クローク管理、機材の設営・撤収、配信の監視、トラブル対応…同時多発的にやることが発生するので、どう頑張っても手が回りません。

そこで今回はスタッフも募集することにしました。

受付スタッフのおかげで、参加者の受付処理やクロークの管理がスムーズに行えました。前回は主催が受付もやりながら他のことも対応していたので、かなりバタバタしていたんです。専任のスタッフがいるだけで、こんなに余裕が生まれるのかと実感しました。

また、会場の雰囲気を撮影してくれる方もお願いしました。対戦の様子や参加者の楽しんでいる姿など、その場の空気感が伝わるような写真をたくさん撮ってもらえて本当に助かりました。主催は目の前のことで手一杯になりがちなので、こうして記録を残してくれる存在は本当にありがたいです。

機材周りも、複数人で取り掛かることができたので設営・撤収がスムーズに進みました。一人で配線を這わせるといったことをやらなくて済んだのは、精神的にもかなり楽でした。

スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。皆さんの協力があったからこそ、イベントを成功させることができました。

イベントの本質と今後の悩み

ここで改めて大事なことを書いておきます。このイベントは、格闘ゲームが好きな人たちがワイワイ盛り上がれる場所を作りたいという思いで立ち上げました。着ぐるみも大事な要素ですが、それは二の次です。あくまでゲームを楽しむイベントなんです。

ただ、今後参加者を広く募集していくと、「ゲームはできないけど、着ぐるみだけやりたい」という方が出てくる可能性があります。これが実は最大の悩みです。

このイベントはコスプレイベントではありません。会場も、ゲームイベントを開催するという前提で貸していただいています。もしゲームをせずに着ぐるみだけを目的とした参加者が出てしまうと、会場側との信頼関係が崩れ、最悪の場合イベント自体が開催できなくなる可能性もあります。

イベントの本質を理解してくれる人たちと一緒に楽しむ場を守りながら、どうやって継続していくか真剣に考えているところです。

何はともあれ、皆様の協力があってこのイベントは開催まで漕ぎ着けることができました。参加していただいた方々本当にありがとうございました!